人参を腐らせた

白いカビが生えていて、袋の中には黒っぽい液体が入っていた。納豆みたいな臭いがした。床に買い物袋ごと放置していた人参。袋ごと持ち上げると、白くカビた真ん中の部分がグニャっと曲がる。一緒に入れていたジャガイモは無事だったけど、食べる気分になれなかったから一緒に捨てた。

一人暮らしを始めた頃は、食材を大事に大事にしていたし、毎日自炊をしていた。実家で、自炊しないのかって言われた時は、忙しいからって機嫌を悪くした。こんなことを書いている時間があるのに。

小さいことを大事にしないツケは、きっといつかやってくる。ここまでではないにしても、1年ほど私は人参の先っぽとかはよくダメにしていた。多分、今私は先っぽらへんが腐っていると思う。今のうちに手を打たないと、いつか全部腐ってしまう。先っぽを切り落とすだけで済むのだ。腐った先っぽを。

少し時間を割いて、腐った先端を切り落としていく。お風呂の髪の毛を取るとか、洗濯機のゴミをとるとか、自転車の鍵をかけるとか。めんどくさくなって、まぁいいかと思ってたひとつひとつ。生活を大切にしなければ。先っぽだけだから、は信じちゃいけないって、よく言うじゃない。そのうち全部腐ってしまう。腐ってしまう前に切り落としてしまわなければ。